給食と生徒指導、食の充実と心の安定の関連性について考えてみました
私が教師を退職するまでに経験した学校は5校ありました(そのうち2校は2回赴任しましたが)。どの学校に行っても幸か不幸か給食がありました。とても美味しいと有名な中学校から、とても美味しくないと有名な中学校までいろいろな給食に出会いました。今回は、その頃の教師生活を思い返してみて気が付いていたことを書いてみようと思います。それは、マズイ給食の中学校は問題行動が目立つ生徒が多かったということです。
最初に赴任した学校は給食の充実した中学校でした。食欲に負けて突拍子もない子どもっぽい行動をするやんちゃ坊主もいましたが、全体としては明るく元気な中学生らしい子ども達のいる学校でした。現在深刻になっている不登校の問題もほとんどないような学校でした。そんな中学校を3年で転勤しなければならなくなった時は本当に嫌でした(初任者は最初の学校を3年で転勤するのが一般的なので仕方なくです)。
そんな私が次に赴任した学校は美味しくない給食で有名な中学校でした。一気に楽しくない日々になりましたが、仕事なのでそんなことを言ってられませんでした。しかし、新学期が始まってすぐに前任校との違いに愕然としました。
全校生徒数が前任校に比べて倍以上も多いこともあるのかもしれませんが、問題を抱えている生徒がとても多かったのです。
学校に来ない生徒、お菓子などの不要物を持ち込む生徒など、毎日のように誰かしら指導されていました。
いろいろな問題があった中で、振り返ってみると多かったのがやはり不要物、特にお菓子の持ち込みでした。
当時のこの学校は部活動が割と強く、生徒たちは放課後遅くまで部活動に励んでいました。
でも、給食内容はとても貧弱でした。しかも、主食であるご飯は各自持参。おかずの持ち込みは当然ダメ。(小学校によってはおにぎりにしてもダメだったと聞いて後にビックリしました。)白いご飯をお弁当箱に詰めて持ってくるのです。おかずと汁物、牛乳は給食として出ますが、寂しい内容でした。一汁一菜みたいなものです。カレーの日もお弁当ご飯です。食べにくかったです。
こんな状態のお昼ご飯では帰宅まで空腹が我慢できなくても無理はなかったと思います。生徒の不要物持ち込みを容認は出来なかったけれど、気持ちが分からなくもなかったです。
空腹対策に部活動用のおにぎり持ち込みを提案したのですが、頭の固い古い先生たちはなかなか折れてくれず大変だったです。一つ許すと次々に・・・といらぬ心配ばかりでした。でも、おにぎり許可後は不要物が減ったのですから、食の充実と問題行動は関係があると思ったわけです。
その次に転勤した学校もまた給食が美味しくない大規模校でした。
予想した通り不登校をはじめ問題行動多数の学校でした。
部活動は前任校よりも更に盛んなのに、部活動前のエネルギー補給に対しての配慮はやはりまるでありませんでした。
ここでも何人かの先生方と協力して部活用おにぎり持参を提案したのですが、どこにいっても古い先生方はなかなか理解してくれず大変でした。
学校って本当に変化が嫌いですよねぇ。
でも、不要物に対してのおにぎり効果はそれなりにあったと思うので、大変でしたがやって良かったと思っています。
さて7年後、またまた転勤したのですが、次の学校は前の2校に比べればかなり給食が美味しい学校でした。
そして、生徒たちがとても穏やかでした。
前任校までは毎日何かしら大きな声を発する場面がありましたが、転勤先では最初の1年間で大きな声を出したのは2回だけでした(それも叱るとかではなかったです)。
不登校や不要物問題も少なく平和な毎日でした。
その後また転勤しましたが、そこの給食もそれなりに美味しかったです。そして、やはりあの2校に比べれば問題を抱えた生徒は少なかったです。
さて、こうして各校で働いて一周して以前は美味しい給食で有名な中学校に再び勤務したのですが、その時にとてもとてもびっくりしました。
いつの間にか不登校問題を抱える生徒が多い学校になっていたからです。
同時に給食が美味しくなくなっていることにも愕然としました。
「給食が楽しみだから学校休まない」と子ども達が楽しそうに話していたかつての学校の雰囲気はなくなっていました。
町の財政事情や大人の政治的な都合で自校給食を廃止し、総合給食センター方式にしたことのしわ寄せがこんな形で現れるとは誰も考えなかったんでしょうね。
食の充実と精神の安定は密接な関係があるはずです。成長期の子ども達なら尚更です。子ども達が給食だけを楽しみにして学校に来たっていいじゃないですか。美味しい給食が自慢の学校が増えたら問題行動の多くは解決し始めると思うんですけどね!(^^)!