やるたびに進化していく白雪姫は無敵の題材(後編)
七人の小人の家で一夜を明かしたしらゆきひめは、一番小さい小人と森へ出かけようとしました。
すると、そこへあの怪しいセールスマンたちがやってきたのでした。
「あぁーっ、お前たち、許さないぞ!」と叫んだしらゆきひめは2人に飛び掛かりました。
「わぁーっマズイッ!」と逃げようとするセールスマンたち。
でも、小人たちとしらゆきひめにつかまってしまいました。
しらゆきひめはセールスマンの綾椎三(あやしいぞう)に「元に戻る方法を教えなさいよ」と迫りました。
すると綾椎三(あやしいぞう)は「簡単です。あなたのことを愛してくれる人がキスをしてくれたら、すぐに元に戻ります。」と言いました。
それを聞いてしらゆきひめは「なーんだ、簡単じゃない。」と言い、2人を放してやりました。
唖然とする小人たちを尻目に、セールスマンたちはさっさと逃げてしまいました。
さて、残されたしらゆきひめと小人たち。
しらゆきひめは「楽勝じゃん」と喜んでいましたが、小人たちは冷静でした。
こんな姿をしているしらゆきひめを好きになって、愛してくれるような人が簡単に現れるわけないと口々に言うのでした。
そして、互いにお前が相手になってやればなどと言って押し付け合うのでした。
そこへ、隣国の王子と家来がたまたま通りかかりました。
王子はしらゆきひめを見るなり「あぁ、なんて理想通りの人がいるんだ」と駆け寄ってきました。
しらゆきひめと小人たちはビックリしました。
家来もびっくりでした。
王子の理想とするような相手が目の前にいたのですから。
王子は「私は普通の女の人が好きではない。変わった人が好きなのだ。私と一緒に城へきて、妻になって欲しい。」と言うのでした。
しらゆきひめは急に現れた求婚者に驚きましたが「元に戻るためには仕方がないわ」とプロポーズを受け入れることにしました。
王子は喜んでしらゆきひめを抱きしめ、キスをしました。
すると……。
「あっ!胸が生えた!」と小人たちが声を上げました。
しらゆきひめも「やったわ、元に戻ったわ」と大声をあげて喜びましたが、何か変でした。
それは、顔だけは元に戻っていなかったでした。
しらゆきひめは鏡を見て「なんで顔はそのままなの?」と泣きそうになりました。
驚いたのは王子でした。
「えっ、どういうことだ。君は男じゃなかったのか?私は普通じゃない方が好きだったのに、あんまりだ。」と複雑な心境をカミングアウト。
それでも「でも、顔はそのまま変だし、普通の女性ではないから城に連れて帰ろう。」と渋々納得して、しらゆきひめに手を差し伸べました。
しらゆきひめは何だかよく分からないけれど、このままここにいてもどうしようもないので、王子と一緒に行くことにしました。
「幸せにしてね。」としらゆきひめ。
家来を伴ってしらゆきひめと王子は旅立っていきました。
さて、例のセールスマンたちはどこへ行ったのか?
りんごの副作用はいつまで続くのか?
それは誰にもわかりません。
もしかしたら、次はあなたのところにやってくるかもしれませんよ。
おしまい。