かずたまりん通信

元中学校教師の独り言。今だから言えることもあるんです。

給食のお話 4 ~理性を吹っ飛ばす威力の食欲を持つ彼の思い出~

箸がなければ顔で行く?

私が20数年前に勤務していた学校は給食のとても美味しい学校だったと以前書きました。今回はその当時の忘れられない生徒エピソードを書きたいと思います。

当時のその学校は自校給食だったこともあり、毎日出来たての給食が食べられました。給食室のおばさんたちは午前の授業の終わる時間を計算して、朝から(ものによっては前日から)準備していました。このおばさんたちは美味しい給食を作ることに自信と誇りを持っていました。だから、突然の授業時間の変更を給食室に相談もなく行うと教頭や教務主任に対して烈火のごとくお怒りになっている場面を何度か見ました。毎日たった3人で8クラス分の美味しい給食を作るおばさんたち。本物のプロでした。

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さて、そんな美味しい給食ができ始めるのがお腹のすき始める3時間目頃。この頃になると子どもたちは給食が待ち遠しくてたまらない表情になりました。教室にいい匂いが漂ってくるのですからしょうがないですよ。それでもみんなでじっと昼が来るのを待っていました。ひたすら我慢です。

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4時間目が終わると待ちに待った給食の時間。

食欲MAX状態になっている子ども達はお急ぎで準備に取り掛かります。

当時私が担任していたのは1年生28名。私の分も含めて29人分の準備はそれほど時間がかからない方だったと思います。

全員に給食が行き渡り、着席したら係の挨拶で食べるルールになっていました。

しかし、このルールをある一人の男子生徒はなかなか守れませんでした。

ルールよりも自分の食欲最優先。配膳された給食が渡った途端に食べ始めてしまいます。

何度注意してもやりました。中一とは思えないほどでした。

注意をするたびに彼は「我慢できなくてつい箸持っちゃうんだ。」と言っていました。

そこで、「いただきます」の挨拶をするまで彼にはお箸を渡さないという対策を考え実行しました。もちろん彼にもそうする理由はきちんと説明しました。

そして対策実施一日目は挨拶するまで我慢できました。よしよしヾ(・ω・`)

しかし、二日目にして彼の食欲は理性を超えてしまいました。

メニューがみんなの大好きな五目炊き込みご飯だったことと、午前中に体育の授業があり、彼が空腹MAXだったという条件が重なってしまったからです。

「いただきます」までお箸がないのを知っている彼は、突然ガバッとごはん用の食器に口を付けて食べ始めたのです。

周りの子どもたちも私も呆気に取られてしまいました。Σ(゚Д゚)マジかぁー!!

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その後どうやって指導したのか今ではよく思い出せませんが、給食指導で印象に残っている生徒といえば間違いなく彼です。(そんな彼も今ではお父さんになっているようです。子どもにはちゃんと食事マナーだけは身に付けてあげなさいね。大丈夫かなぁ?)