やるたびに進化していく白雪姫は無敵の題材(前編)
学校祭で演劇を担当することが多かった私。
時間に余裕があれば、脚本を一から書くことも、生徒と話し合って作ることもできましたが、たいていの場合はそんな余裕などない異常に忙しい日々。
そんな時に役に立っていたのが「しらゆきひめ」でした。
これは、かつて勤務した学校で上演するために生徒が原案を考えてくれたものでした。
ただ、そのままでは脚本の形にはなっておらず、上演時間も短すぎたため私が手を加えて演劇用脚本として完成させたものでした。
この脚本はとても融通が利き、演出に合わせて、アレンジは自由自在という便利な作品でした。
その便利な脚本は、その後転勤した各学校でも、私が勤務している間に一度は上演されていた作品でした。
脚本では読みにくいので、物語に直して、今回はざっくりとその内容を紹介したいと思います。
昔々、あるところにしらゆきひめという見た目はとても美しい娘が一人で暮らしておりました。
毎日鏡を見ては「あぁ美しい、私ってなんて美しいのかしら。でも、もっともっと美しくなりたい」などと性格にちょっと問題はありながらも呑気に暮らしていました。
そんなある日、しらゆきひめの下へ2人のセールスマンがやってきました。
その名は「綾椎三(あやしいぞう)」と「岡椎弥(おかしいや)」でした。
2人は言葉巧みに美しくなるりんごと高級クリームをしらゆきひめに売り込むことに成功したのでした。
そして、2人のセールスマンは商品が売れたことを喜びながら帰途につきますが、説明書を渡すのを忘れたことに気が付きます。
それは「このりんごは心の美しさがそのまま見た目に影響します。くれぐれもご注意ください」というもの。
しかし、この2人は引き返すのが面倒でそのままにしてしまったのでした。
さて、そんなことを知らないしらゆきひめは、怪しげなりんごを早速食べてみることにしました。
赤いりんごはとても甘く、おいしくてあっという間に食べてしまいました。
そして、そのまま眠ってしまいました。
やがて、目が覚めたしらゆきひめは自分の体が何か変化していることに気付きました。
顔を触り、胸を触り、恐る恐る鏡を見に走って行ってみるとそこには見知らぬ男が!
なんと、しらゆきひめは男になってしまったのでした。
「おのれ、あのセールスマン、とんでもないものを売りつけたわね。絶対見つけて元に戻してもらうからね。そして、ぎったぎったにしてやるんだからぁー!」と叫んで外に飛び出しました。
見た目は美しかったはずのしらゆきひめですが、中身は怖いもの知らずの男勝りな性格も隠し持っていたため、心の姿そのままの男になってしまったのでした。
こんなしらゆきひめは無事に元に戻れるのでしょうか?
続きは次回へ✋