高級食材も関係なし。労働で得たものは何でも元気に美味しく全部食べた。
ある学校で中学3年生を担当していた時、2日間の職業体験がありました。
地域の各企業にお願いして、朝から1日しっかり働かせてもらうという、恒例行事でした。
地域にある温泉ホテルの客室係やケーキ屋さん、美容室、土木工事の会社、食堂、酒屋さんなどいろいろな職場で60人の生徒たちが真剣に働いてくるのです。
学校から離れて、学校では学べないことを体験できるこの2日間を生徒たちはとても楽しみにしていました。
各事業所のみなさんは大変だったと思いますが、それでも地域の子どもたちのために毎年引き受けてくれていたので、本当にありがたいなぁと思ったものでした。
でも、1か所に行ける人数は限られていたため、生徒の希望がいつも通るとは限らないため、グループ分けでもめることもしばしばあるのでした。
そんな時、いつでも大人数をいくらでも引き受けてくれるところがありました。
なんと最大100名まで大丈夫だよと。(そんなに生徒はいませーん(笑)と思わず言ってしまったくらいです)
それが長谷川自然牧場でした。(お問い合わせは青森県西津軽郡鰺ヶ沢町北浮田30 ☎0173-72-6579まで)
ここは日頃からいろいろな体験を受け入れている牧場で、仕事はいくらでもあるので、何人来てくれても構わないよという有難い事業所なのでした。
何人でも行けるというのは本当に助かりました。
なにせ友達とどうしても離れたくないという生徒もいて、グループ分けに苦慮しそうだったからです。
また頭を使うよりも体を使う仕事がしたいという生徒もいました。
そういう子どもたちはまとめてここへ体験に行きました。
1日目はいいお天気で、「今日は大自然の中の牧場でのびのびと楽しく作業しているんだろうな」と、勝手に想像しながら、私は学校で彼らの帰りを待っていました。
ところが、帰って来た彼らは開口一番「臭かった」の一言。
バスで迎えに行った先生の話では、牧場には豚さんも鶏さんもいろいろいて、なんともいえない臭いがしたのだそう。
まぁ、当然と言えば当然ですよね。
「明日、耐えられるかなぁ」と泣きごとを言う生徒たち。
作業自体はとてもやりがいがあったそうなので、なんとか励まして帰宅させたけれどちょっと心配になったりしたのでした。
でも、そんな心配は杞憂に終わりましたね。
2日目の彼らの鼻は臭いにすっかり慣れ、泣き言を全く言っていなかったと様子を見に行った先生が言っていました。
そして、お昼には労働のご褒美としてBBQをご馳走してくれたそうです。
さらに、職業体験の次の日は炊事遠足という学年行事を設定していたこの学校。
それを知った牧場の方が、長谷川自然牧場の「豚肉」と「玉子」をお土産に持たせてくれたのでした。
これはかなりの高級食材なのですが、彼らはそんなことはお構いなし。
自分たちが働いて得た食材で「カレーライス」を作り、卵焼きやゆで卵を作り、美味しく全部食べたのでした。
めちゃくちゃいいお肉だったので、私だったらカレーにするのはちょっとためらうと思いましたが、中学生は思い切りがいい。
そうやってできたカレーはしっかりおすそ分けしてもらって私も食べました。
それまで食べたどのポークカレーよりも美味しかった。特にお肉が。
そのカレーを食べながら、子どもたちよ、働いてくれてありがとうと心から思ったのでした。