先生の数だけドラマがある25 ～大会遠征・合宿・キャンプ・遠足はビックリの連続２～

新メニューきつね味噌汁発見

遠足もいろいろなバターンがありますが、事前指導から時間がかかるのが炊事遠足。

それでも生徒たちは楽しみにしてくれるので、中学校在学中に一回は体験させたいなぁと考えるのです。

もう二十数年前になりますが、忘れられない炊事遠足がありました。

この中学校は歩いて行けるところに野外炊事ができる場所があり、そこでの学年遠足が計画されたのでした。

学年の生徒は約八十名。

各グループに分かれてメニューを決め、そのメニュー内容のチェックを受けた後に、各グループごとに材料を買い出しして当日を迎えました。

生ものはクーラーボックスに入れ、緊急事態用の先生の車で先に現地へ運搬し、他の荷物はみんなで分担して持って野外炊事場所へと歩き始めました。

当日はとっても良い天気で、暑かったのをよく覚えています。

青空の下を歩きながら、炊事だけでも大変なんだから、せめて現地まではバスで運んで欲しかったなぁと思ったものでした。

さてさて一時間はかからないけれど、結構な距離を歩かされた私たちはそれでもなんとか現地にたどり着いたのですが、すでにそこそこ疲れていました。

でも子どもたちは元気で、すぐに炊事の準備に取り掛かろうとしました。

でもまだ昼にはかなり早い時間（１０時台でしたねぇ）なので、ゆっくりすればと思ったのですが、彼らはやりたくてしょうがないわけですね。

いそいそと材料を切り、鍋やらフライパンやら鉄板、網など思い思いの調理道具を取り出していました。

そして、肝心の火起こしに取り掛かりました。

これはもっと苦戦するのかなと思っていたのですが、お天気にも恵まれたせいか割と順調に点火できて、あちこちで調理が始まりました。

先生方のメニューはＢＢＱと豚汁と決めていたのでそれほど手はかかりません。

火起こしさえできれば後は焼くだけ、煮るだけでいいように用意してきました。

だから引率の私たちは子どもたちの様子を見に行くことにしました。

今回はご飯は炊かずに持参しなさいと言っておいたので、炊飯でてこずるグループはなく、それぞれ順調に進んでいるようでした。

定番の焼きそばやカレーライス、焼き肉、豚汁などの匂いが匂い辺りに漂っていました。

そんな中あるグループの鍋の中に、衝撃のものがあったのでした。

それは大きな油揚げ。

味噌汁の中にはそれはそれは大きな油揚げが４等分したまま入っていました。

「これは？」と聞くと

「油揚げの味噌汁です」と答えた生徒。

「油揚げでかくない？」

「４人で分けるから、４つに切りました」と元気に答えた生徒。

材料を無駄にせず、均等に分けようとした結果がこれ？

予想の斜め上を行く「きつね味噌汁」に衝撃を受け、あれから２０数年たった今でも忘れられないのでした。

そして、そんな味噌汁を作った生徒は今では立派なお母さんです。